イラストノウハウ
人物・キャラクターの描き方

初心者も簡単!身体のイラストの描き方

  • 描き方

人物のイラストを描くとき、全身のバランスが崩れてしまったり、動きが不自然になってしまったりすることがあります。この記事では、人体の仕組みやバランス、簡単な図形を使ったアタリの取り方、動きを表現する方法を解説します。骨格や重心の仕組みを理解することで、説得力のある全身のイラストを描くことができるようになります。

具体的な練習方法から知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
関連記事:初心者も簡単!身体の描き方の練習方法

身体のイラストを描くための基本

人物を描く上で大切なのは、部分的なパーツの形ではなく、全体のバランスです。人間の身体は、それぞれの部位が一定の規則性を持ってつながっているため、その比率が崩れると、イラストに違和感を覚える原因になります。全体のバランスをあらかじめ頭に入れておくことで、どのようなポーズであっても自然な仕上がりになります。

全身のバランス比率(頭身の目安)

人物のバランスを測る基準として、頭の縦の長さを1単位とする頭身という考え方があります。

たとえば、現代のイラストでよく使われる標準的な7頭身のキャラクターを描く場合、頭の長さを1としたとき、首から股までの胴体を2、股から足の裏までの足を4の比率にすると、全体のバランスが整います。

人間の身体は、下半身が全体の半分以上の長さを占めているため、この比率を守ることで、地面にしっかりと立っている安定した印象を与えることができます。

参考記事:初心者も簡単!キャラクターの頭身比率とバランスの取り方

腕と胴体のバランス比率

腕の長さを決めるときにも、胴体のパーツを基準にした比率があります。

まず、腕をまっすぐ下ろしたとき、肘の位置はウエストのくびれや、おへそのあたりとほぼ同じ高さになります。さらに腕を伸ばすと、手首の位置は股の高さと一致し、指先は太ももの中間あたりに届きます。腕が長すぎたり短すぎたりすると、物を掴んだり歩いたりする動作が不自然に見えてしまうため、これらの骨格の目印を意識して位置を決定します。

男女の身体の違いと描き分け

男女の性別による骨格の違いを意識すると、男性と女性のキャラクターを明確に描き分けることができます。特に肩や腰の幅は、シルエットに大きな影響を与える部分です。頭の横幅を基準にして、肩幅の比率を変えることで、一目で性別が伝わる自然な体型を表現することができます。

男女の肩幅の違い

男性の場合、骨格が横に発達するため、頭の横幅と同じ長さが、左右の肩にそれぞれ張り出す形になります。つまり、右肩と頭、左肩の幅が等しくなり、全体で頭3つ分の肩幅になるため、がっしりとした力強い印象になります。

一方、女性は骨格が華奢なため、頭の横幅を2としたときに、左右の肩の張り出しがそれぞれその半分の1の長さになります。全体の肩幅が頭2つ分に収まるため、肩周りが小さく見え、相対的に腰のラインが目立ちやすくなります。

男女のシルエットの特徴

全体のシルエットを捉えるときも、男性と女性で大きく違いが現れます。

男性は四角い箱のような直線的な形を意識します。これは、骨が太く、筋肉が直線的に発達しやすいという特徴があるためです。

これに対して女性は、全体に丸みを帯びたしなやかな曲線を意識して描きます。女性の身体は脂肪がつきやすく、骨盤が横に広いため、なだらかな凹凸が生まれます。

このように体型の基礎となる構造を理解して描き分けることで、キャラクターの個性を表現することができます。

女性の身体の描き方

女性の身体を描くときは、女性特有の柔らかさと骨盤の広さを意識した形を作っていきます。最初のアタリの段階では、肋骨のある胸の周りを丸く描き、下半身は骨盤の広がりを意識して、下に向かって広がる台形や三角形に近い形で作ります。その後、線画を描く際には、肩の尖りをなくしてなだらかにつなぎ、ウエストのくびれからお尻にかけての大きな曲線を一続きの柔らかい線で表現します。おへその位置をくびれの中心付近に正確に配置することで、お腹の立体感も表現できます。

男性の身体の描き方

男性の身体を描く場合は、骨格の頑丈さと筋肉の厚みを強調するため、直線主体の形で描いていきます。アタリの段階では、胸の周りや腰のパーツを四角い箱のように捉え、女性よりも横幅を広く取ることがポイントです。

線画では、首から肩にかけての筋肉や、肩の端の骨の尖りを直線的な線で硬そうに描写します。脇腹から腰にかけては、くびれをほとんど作らず、下にまっすぐ落ちるような太いラインで描くことで、しっかりとした体幹を持つ男性特有のシルエットが完成します。

頭身別の身体バランスの違い

現実の人間とは異なる、ミニキャラなどのデフォルメされたイラストを描く際にも、頭を基準としたバランスの法則が役立ちます。

全体の頭身を低く設定する場合、頭が占める割合が大きくなるため、キャラクターの見た目は幼く、かわいらしい印象に変化します。このとき、首を非常に短く描くか、あるいは完全に省略して頭と胴体を直接つなげるようにすると、関節の複雑さが消えて、シンプルで親しみやすいシルエットになります。

2頭身や3頭身といった低い頭身では、手足の凹凸や指の細部を省き、大まかな記号として形を捉えることが、デザインの統一感を出すために重要です。

参考記事:初心者も簡単!イラスト・キャラクターの頭身比率とバランスの取り方

簡単な図形を使った身体のアタリの取り方

複雑な人体の構造を捉えるためには、いきなり細かな筋肉や衣服を描くのではなく、単純な図形を組み合わせたアタリを取りましょう。

アタリを描くときの基本形

アタリの基本となる形として、頭や肩、肘、膝といった自由に動く関節部分には丸を用います。また、衣服や筋肉の下にある胸の骨組みや腰の骨盤は、台形や四角い箱の形で置き換えます。手足の長さや向きを決めるには、棒のような直線や、厚みを意識できる長方形を使用します。

このように体を単純な形に置き換えることで、左右の長さのズレや関節の位置の異常を早い段階で見つけることができます。また、棒状の線の代わりに円柱を使って立体感を出す方法などもあるため、表現したい絵柄に合わせて使い分けることが大切です。

参考記事:初心者も簡単!アタリの描き方

正面から見た身体のアタリの取り方

正面から見た身体をアタリで表現するときは、左右の対称性を保つことが重要になります。まず顔のベースとして丸や縦長の楕円を描き、そこから真下に突き抜ける正中線を引きます。

この正中線を目安にして、胸と腰のパーツとなる台形を上下に並べて配置します。左右の肩や肘、膝の関節を示す丸を、正中線から同じ距離になるように配置し、それらを結ぶように手足の直線や長方形を伸ばしていきます。

正中線があることで、左右の腕の長さや肩の高さが揃っているかを視覚的に確認しやすくなり、傾きのない安定した立ち姿を描くことができます。

後ろから見た身体のアタリの取り方

背中側から見た身体のアタリは、骨格の基本的な配置自体は正面からのアタリと共通しています。ただし、関節の向きや末端のパーツの形状が大きく違います。

特にわかりやすい違いは足元の捉え方です。正面から見たときは、つま先に向かって広がる足の甲を三角形の形として捉えますが、後ろから見たときは、地面に接して体重を支えている踵(かかと)の四角い塊を長方形として捉えます。

このように、見えている面が身体の前側なのか後ろ側なのかをパーツの形によって区別することで、背面の立体感を正確に表現できます。

横から見た身体のアタリの取り方

横を向いた人物を描くときは、身体の厚みと、背骨が描く緩やかな曲線を意識します。顔のアタリは、脳が入っている頭部を横長の楕円形として描き、そこから斜め前下に向かって顎のラインを形成するようにパーツを組み合わせます。

参考記事:初心者も簡単!横顔のイラストの描き方

胴体を描く際は、人間の背骨が軽いS字のカーブを描いていることに注意します。背中側のラインを少し丸め、逆にお腹側を前に出すように調整します。このとき、頭、肩の位置、お尻の最も後ろに突き出た部分が、地面に対して垂直な一本の直線上に並ぶように意識してアタリを配置すると、前後に倒れそうな不自然さが消え、真っ直ぐに自立した姿勢を表現することができます。

斜めから見た身体のアタリの取り方

斜めから見た身体は、イラストに奥行きを与えられる表現ですが、パーツ同士が前後に重なり合うため難易が上がります。この場合は、胴体を平面ではなく、厚みのある四角い箱として立体的に捉えることが重要です。

描く順番としては、まず空間の基準となる胴体の箱を先に描き、その後に重なり合う手前の腕や奥の足といったパーツを付け足していくことで、位置関係の破綻を防ぐことができます。斜めを向いた顔に関しても、球体に沿って曲がる中心線を意識し、顔のパーツが向いている方向を明確にしてから、耳や顎の位置へとつなげていきます。

斜めから見た身体は、箱状に捉えることで立体的に描くことができます。身体と腕・手が重なるので、胴体から腕・手の順に描くと捉えやすくなります。また、斜め向きの顔は横の楕円に垂れ幕を落とすように描くと、顔の向いている方向や中心線を捉えやすいためオススメです。

いろんな身体のポーズの描き方

静止した基本の姿勢を理解した後は、アタリの図形を動かして、さまざまなポーズを展開させていきます。ポーズが変わっても、これまで学んだ人体の比率やパーツの基本的な形は変わらないため、それらを空間の中でどのように配置するかを考えながら描いていきましょう。

立ちポーズの描き方

立っているポーズを自然に見せるには、重心の位置を安定させましょう。人間が安定して立つためには、頭の重みがまっすぐ足元に落ちる必要があります。

片足に体重を乗せて立っている場合は、その体重を支えている軸足の真上に頭や骨盤の中心が位置するようにアタリを配置します。両足で均等に立っている場合は、左右の足のちょうど中間の地面に重心が落ちます。

また、左右の足を開いたときにできる床との隙間の空間を三角形として捉えるなど、パーツ同士が作る空間の形を意識すると、左右の足の位置関係が明確になります。

さらに、地面にパースと呼ばれる遠近感の補助線を引いておくことで、手前の足が大きく、奥の足が小さく見えるといった奥行きのある立体的な立ち姿を描くことが可能になります。

参考記事:初心者も簡単!人物パースの描き方

座りポーズの描き方

椅子や地面に腰掛ける座りポーズは、身体が複雑に折りたたまれるため、最初から細かく描き始めると全体の大きさが変わってしまいがちです。そのため、まずはキャラクターの頭からつま先までを包み込むような、大まかな外枠のシルエットを一つの大きなシルエットとして捉えます。

そのシルエットの中に、地面や椅子の座面となる水平な面を意識しながら、骨盤の箱を配置し、そこから伸びる太ももや膝の関節の位置をアタリとして描き込んでいきます。

線画を進めるときは、手前にある膝や脛などのパーツから順番に描き起こしていくことが大切です。手前にあるものを先に固定することで、その後ろに隠れる太ももや胴体との前後の距離感が狂いにくくなり、重なりの表現が自然になります。

横向きのポーズの描き方

横から見たポーズを描く際は、身体の厚みと姿勢の変化を正確に捉えましょう。

  • 背骨の流れを意識する
  • 肩の関節の位置に気をつける
  • 全体のシルエットに凹凸をつける

まず、意識すべきは、頭を支える首の付け根から、背中を経てお尻へとつながる一続きの背骨の流れです。次に、肩の関節の位置を姿勢に応じて前後に移動させる必要があります。胸を張って背筋を伸ばしているときは、肩の関節は背中側に引かれますが、背中が丸まった猫背のときには、肩の関節は前方のお腹側へと巻き込むように描きます。

最後に、身体の前面と背面の凹凸にメリハリをつけます。胸の膨らみやお尻の突き出しに対して、ウエストやお腹のラインを引き締めることで、平坦ではない立体的な厚みを持った横向きのポーズを作ることができます。

身体をひねるポーズの描き方

身体を捻るポーズは、イラストにダイナミックな躍動感を与えますが、構造を捉えるのが難しいポーズのひとつです。

描き進める際は、まず首からお尻の骨までを通る、身体の回転の軸となる一本の動きの線を引きます。この軸の線を基準にして、胸の箱と腰の箱をそれぞれ異なる方向に向けて配置します。

たとえば、後ろを振り返るポーズであれば、下半身を支える腰の箱は正面を向けたまま、肋骨を含む上半身の箱だけを後ろ側へと大きく回転させます。このように、上半身と下半身の向きに角度の差をつけることで、皮膚や筋肉が引っ張られるねじれの表現が生まれ、画面の中に強い動きと立体感を表現することができます。

斜めに走るポーズの描き方

斜め前や斜め後ろに向かって走るポーズは、画面にスピード感をもたらします。

走る動作を描くときは、手足の連動という人間の運動の仕組みを意識することが不可欠です。右足が前に出ているときは左腕が前に振り出され、左足が前に出ているときは右腕が前に出るという、左右が交差するルールを守ることで、走るポーズが不自然になるのを防ぎます。

また、走る勢いの違いは、手足の可動範囲の広さによって表現できます。全力で疾走しているときは、肘が高く上がり、前後の足が大きく開くため、両足の間に広い空間が生まれます。逆に、軽いジョギングや落ち着いた走り方のときは、腕の位置が下がり、足の歩幅も狭くなります。

キャラクターが置かれている状況や感情に合わせて、手足の開く角度を調節すると、より意図が伝わりやすくなります。

身体のイラストのよくある失敗と改善策

人物の全身を描くとき、多くの人が同じような壁にぶつかることがあります。不自然に見える原因を論理的に突き止め、それを修正するための具体的な方法を確認していきましょう。

子供の身体が上手に描けない

子どもの身体を描く際に、大人の体型のまま全体のサイズだけを小さくしてしまうと、子供の身体が上手に表現できません。

子どもの骨格は成長途中のため、大人とは根本的に比率が異なります。まず、全身における頭の割合を大きくし、4頭身から5頭身ほどに設定します。さらに顔の内部では、目や鼻などのパーツを顔全体の下半分、つまり中心寄りに集めて配置し、それぞれのパーツを大きめに描くことで幼さが表現されます。

首の骨もまだ未発達で短いため、肩に頭が乗っているような短いバランスを意識します。体型のラインについても、筋肉や骨の凹凸を目立たせないようにし、全体的に丸みを帯びた、ふっくらとしたシルエットにまとめることで、大人とは異なる子ども特有の体型を表現できます。

ポーズが硬く、身体の動きが表現できない

描くキャラクターが人形のように硬く見えてしまう原因は、頭の中で想像した記号的な線だけで描いてしまい、実際の筋肉の張りや重心の傾きがうまく表現できていないことにあります。

この問題を解決するには、実際の人物の写真を観察して書き写す練習が効果的です。ポーズの写真を見ながら、全体の傾きや、どの部分に力が入っているのかをアタリに落とし込んでいきます。

また、ただ線を追うだけでなく、立体に落ちる影の形も一緒に捉えることで、平面のイラストに奥行きを与える感覚が身につきます。手に入りにくい複雑な角度のポーズであれば、自分で鏡の前に立って同じ姿勢をとって写真に撮ったり、関節が可動するデッサン人形やスマートフォンの3Dモデルアプリを活用したりすることで、骨格のつながりや正確な見え方をその都度確認しながら描き進めることができます。

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アタムアカデミーのオンラインイラスト教室では、身体の描き方を学べます。

人体の自然なバランスやプロポーション、簡単な図形を使ったアタリの取り方、動きの表現など、身体のイラストの描き方を基本から応用まで、講師とやりとりしながら練習できます。

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