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特殊効果・テクニック

初心者も簡単!アタリの描き方

  • 描き方

目次

アタリの基本

アタリとは?

「アタリ」とは、本格的な線を描き込む前に描く補助線や大まかな図形のことです。イラストの位置や大きさ、構図を決めるための重要な作業で、バランスの良い絵を描く上で欠かせない工程です。

アタリの役割と目的

アタリを使うことでイラスト全体のバランスや比率を把握しやすくなります。もしバランスが崩れていても、簡単な図形の段階なので修正は非常に簡単です。

また、あたりを使って、頭の中にあるイメージを具体的に視覚化し整理することで、自信を持って作品を進められるようになります。アタリであれば間違えても問題ないので、のびのびとした線を描くための自信につながります。

構図やポーズを試行錯誤する際にも、アタリは非常に役立ちます。簡単な線で試行錯誤することで、よりダイナミックで魅力的な構図やポーズを見つけ出すことができます。

アタリの考え方

アタリの取り方には、棒人間や図形などさまざまな方法がありますが、正解はありません。自身が一番描きやすい方法を探しましょう。

棒人間や単純な図形を使う方法などを試して、自分に合ったスタイルを見つけることが大切です。

アタリの考え方と合わせて、イラスト制作全体の基本的なコツについては、イラスト初心者が知っておきたいお絵描きのコツの記事も参考になります。

基本の正面顔のアタリの描き方

円と十字線で正面顔のアタリを描く

正面顔を描く際のアタリの基本は、円を描き、次に顎のラインを加えて十字線を入れる手順です。

まず、顔の基本となる円を描きます。このとき、少し縦長の楕円を意識すると、より自然な頭の形に近づきます。これは顔全体ではなく、頭蓋骨(頭の丸い部分)の目安となります。

次に、頭の円の下半分に、アゴの形を追加します。三角形や、台形、西洋の盾のような形をイメージすると描きやすいです。この時点で、顔全体の輪郭が決まります。

最後に、顔の輪郭の中心に、縦線と横線を引きます。これが十字線です。縦線は顔の左右のバランスを、横線は目の高さを決めるための重要なガイドラインとなります。

顔のパーツを正確に配置する

顔の輪郭のアタリが描けたら、次はアタリに沿って顔のパーツを配置していきます。

アタリのポイント

十字線の「横線」の上に、目の下まぶたが来るように配置します 。左右の目の間隔は、だいたい目一つ分空けるのが一般的です。

アタリのポイント

目のラインとアゴの先端の、ちょうど「中間」に配置します。

アタリのポイント

鼻の位置とアゴの先端の、ちょうど「中間」に配置します。

アタリのポイント

だいたい目の高さから鼻の高さの間に収まるように配置します。

上記はあくまで基本的な目安の位置になります。キャラクターの年齢や個性、デフォルメの度合いによって変化させていきましょう 。

男女の顔のアタリの描き分け

キャラクターの性別による描き分けは、まつ毛や唇の形といったパーツの形だけでなく、実はアタリでも描き分けができます。男性的な顔

男性的な顔

顔の円をやや縦長に描き、目の位置を少し高めに設定します。アゴのラインは、女性に比べて直線的で角ばらせ、エラをしっかり描くと男性らしい骨格になります。

女性的な顔

顔の円を丸く、あるいは少し横に広く描き、目の位置をやや低めに設定します。アゴのラインは曲線的で滑らかにし、シュッと細く尖らせると女性らしい、優しい印象になります。

このように、アタリの形を意識的に描き分けることで、キャラクターの「たくましい」「優しい」「大人びている」「幼い」といった印象を、顔のパーツを描き込む前から表現できます。

男女の輪郭の描き分けについて、より詳しく知りたい方は輪郭の描き分けの記事もご覧ください。

角度のついた顔のアタリの描き方

顔を球体で捉える

初心者が角度のついた顔でつまずくポイントは、顔を平らな面として捉えてしまうことです。平らな紙にパーツを貼り付けるように顔を描いてしまうため、立体感が失われてしまいます。

角度のついた顔は球体として捉え、面や十字線を描いて位置を確認するようにしましょう。左右反転を利用しながら歪みを修正すると、違和感のない自然な顔を描くことができます。

斜め顔のアタリの描き方

斜め顔は、まず顔の円を描き、顔が向く方向に合わせて「縦線」をカーブさせます。この線が顔の中心線となり、鼻や口がこの線上に並びます。横線も、球体の丸みに合わせて少しだけカーブさせると、より立体的になります 。  

斜め顔には、「正面の面」と「側面の面」があります。これを意識することで、パースを意識しやすくなり、目や鼻、口、顎などの位置も自然に配置できます。

目のアタリのポイント

手前の目は大きく、奥の目は少し小さく、そして横幅が圧縮されて細くなります。瞳の形も正円ではなく、少し潰れた楕円に見えます。

アタリのポイント

正面顔と違い、鼻筋と鼻の高さがはっきりと見えます。鼻の先端が、奥の頬の輪郭線からどれくらい離れているかで、顔の角度を表現できます。

アタリのポイント

口の中心は、カーブした縦線に沿います。当然、奥側の口角は手前側より短く見えます 。

アゴと頬アタリのポイント

輪郭は左右非対称になります。特に初心者は、奥側の頬を膨らませすぎてしまいがちです。顔の丸みを意識し、奥側の輪郭は手前側より平面的になることを覚えておきましょう。

横顔のアタリの描き方

真横を向いた顔は、パーツの配置よりも全体のシルエットが重要になります。

シルエットで覚える

横顔は、まず全体のシルエットを捉える練習が効果的です 。「おでこ→眉のくぼみ→鼻の出っ張り→口元のくぼみ→アゴ」という特徴的なラインを覚えてしまいましょう。  

Eラインを意識する

横顔の美しさの基準として「Eライン(エステティックライン)」というものがあります。これは、鼻の先端とアゴの先端を結んだ直線のことで、美しい横顔では、唇がこの線上か、少し内側にあるとされています 。 

パーツの配置

目は、横から見ると三角形に近い形になります。耳は、頭部のちょうど真ん中に配置します。首は、アゴの真下から垂直に下ろすのではなく、後頭部から首筋にかけてのラインを意識し、少し斜め前に傾けると自然に見えます 。  

アオリと俯瞰の顔のアタリの描き方

アオリや俯瞰の顔を描く際は、顔のパーツを中央に寄せるように描くと自然に見えます。

アオリのアタリのポイント

アタリの横線が、上に凸のカーブ(スマイルのような形)を描きます。普段は見えないアゴの裏側や鼻の穴がよく見え、逆に頭頂部は小さく見えます。パーツは全体的に上向きに配置され、耳は目よりも低い位置にあるように描きます 。

俯瞰のアタリのポイント

アタリの横線が、下に凸のカーブ(しかめっ面のような形)を描きます。おでこや髪の毛のある頭頂部が広く見え、アゴは短く、あるいは隠れて見えなくなります。パーツは全体的に下向きに配置され、耳は目よりも高い位置にあるように描きます 。

全身のアタリの描き方

顔が描けるようになったら、次は体全体のアタリを描いていきましょう。人体の比率や構造をアタリで捉えることで、自然で躍動感のあるキャラクターを生み出すことができます。

頭身を決める

頭身とは頭の縦の長さを基準とした身長の比率です。描きたいキャラクターのタイプに応じて頭身を調整しましょう。

幼児やデフォルメキャラは4~5頭身、中高生キャラは6~7頭身、大人やヒーロータイプのキャラクターは7~8頭身が一般的です。描きたいキャラクターの年齢や設定に合わせて、最適な頭身を選びましょう。

最初に頭身を決めておかないと、描いているうちに手足が長すぎたり短すぎたりと、バランスが崩れる原因になります 。頭身別のキャラクターデザインや身体のバランスの取り方については、頭身比率とバランスの取り方の記事で詳しく解説しています。

具体的なポーズのアタリを描く

頭身が決まったら、具体的なポーズのアタリを描いていきます。ここでは、2つのアタリの取り方を説明します。

シンプルな棒人間(骨格)

まずは、棒人間で大まかなポーズを決めます。頭(円)、背骨(一本の線)、肩(横線)、骨盤(横線)といった主要な骨格を配置し、そこから手足の線を描きます。これだけで、ポーズ全体の流れや手足の位置関係を素早く把握できます。

図形を組み合わせる(立体構造)

棒人間でポーズが決まったら、それを立体的な図形に置き換えていきます。この工程でキャラクターに厚みを与えることができます。

関節(頭、肩、肘、膝など):丸
手足(腕、脚):円柱
胴体、腰:四角形や台形など

単純な立体図形に置き換えることで、パース(遠近感)がついた複雑なポーズでも、パーツの向きや重なりを正確に捉えることができるようになります。

男女の体のアタリの描き分け

顔と同様に、体もアタリの段階で男女の骨格的な違いを意識することで、説得力のあるキャラクターを描くことができます。

男性の体のアタリのポイント

肩幅が広く、腰幅はそれよりも狭いのが特徴です。胴体は、肩から腰にかけて細くなる逆三角形をイメージすると捉えやすいです。このV字のシルエットが、男性的な力強さを生み出します 。

女性の体のアタリのポイント

肩幅は男性より狭く、腰幅は肩幅と同じか、それ以上に広くなります。胸からウエストにかけてくびれ、そこから腰にかけて広がる砂時計やひょうたんのようなシルエットが特徴です。肋骨部分と骨盤部分を、それぞれ別の箱や楕円で考えると、女性らしい曲線美を表現しやすくなります 。  

重心と体の流れを意識する

アタリが描けても、なぜかポーズが硬く、不自然に見えてしまうことがあります。その原因は、重心と体の流れの欠如にあります。

重心を意識する

キャラクターが安定して立っているように見せるには、体の重さの中心である重心が、支点の上にある必要があります。

まっすぐ立っている場合は、体の中心線が両足の間に落ちます。片足に体重をかけている場合は、その支えている足の真上に重心が来るように、体全体を少し傾ける必要があります。

コントラポストとS字カーブ

片足に体重を乗せると、骨盤が上がり、バランスを取るために肩が下がります。このとき、背骨に自然なS字カーブを描くことで、ポーズに優雅さと躍動感が生まれます。この肩のラインと腰のラインを逆方向に傾けることを意識するだけで、棒立ちの硬いポーズから一気に脱却できます。

コントラポストなどを活用した、さらに動きのあるポーズの描き方は、動きのあるポーズの描き方の記事で詳しく学べます。  

アクションライン

アタリを描き始める前に、そのポーズの勢いやエネルギーの流れを一本の滑らかな線(アクションライン)で描いてみるのも非常に効果的です。この線に沿ってアタリを組むことで、ポーズ全体に統一感とダイナミックな動きが生まれます。

アタリを描くときのよくある失敗と改善策

初心者がアタリを描くときのよくある失敗と改善策をご紹介します。

頭を球体として捉えられていない

頭を球体としてうまく描けない場合は、まず簡単な丸を描いて十字線を入れる練習から始めましょう。数をこなして慣れることで、自然と感覚が身についてきます。

思い込みで描いてしまう

自分の記憶や思い込みだけに頼って描くと、後からバランスの悪さや間違いに気づくことがあります。常に参考資料を活用して、正確な情報を確認しながら描く習慣をつけましょう。

完璧な線にこだわりすぎる

アタリは最終的な完成品ではなく、イメージを明確にするための補助的な工程です。最初から完璧な線を引こうとせず、自由に線を引いたり消したりしながら徐々にイメージを形にしていきましょう。

アタムアカデミーでアタリの描き方を学べる

アタムアカデミーでは、アタリの描き方を学ぶことができます。

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