イラストノウハウ
パース・背景の描き方

初心者も簡単!地面のイラストの描き方

  • 描き方

地面はイラストの中で目立たない部分に見えますが、実は画面全体の説得力を左右する大事な要素です。地面がしっかり描けていると、そこに立つ人物や建物も自然に「その場に存在している」と感じられます。

この記事では、土の地面、草の生えた地面、砂場の地面という三つのパターンを、なぜそう描くとよいのかという理由も含めて解説していきます。

参考記事:初心者も簡単!背景のイラストの描き方

地面を描く流れ

地面のベースの塗り方

まずは土台となる色を決めます。ここで大事なのは、その場所の環境によって土の色が変わるという点です。土の色は、水分量と養分の量、そして粒の細かさによって変化します。

水分を多く含んだ土や、栄養分の多い土は黒っぽい濃茶色に見えます。これは、土の粒と粒の隙間に水が入り込むことで光が乱反射しにくくなり、光を吸収する量が増えるためです。雨上がりの地面や畑の土が黒く見えるのはこの仕組みによるものです。

水分と栄養分がほどよくある土は、明るい茶色になります。山の斜面や畑によく見られる色です。

水分や栄養分が少なく、砂の粒が大きい土は、光を反射しやすいため白っぽい茶色に見えます。校庭や公園のように踏み固められて乾いた地面は、この色を選ぶとリアルに見えます。

粘土質が多く水はけの悪い土は灰色がかった色になります。川の下流や田んぼのように、細かい粒子が積もってできた地面に向いています。

今回描くのは公園の乾いた地面なので、白っぽい茶色をベースの色として選びます。

土の暗い部分の塗り方

ベースを塗ったら、暗い部分をジグザグの形で置いていきます。まっすぐな線ではなくジグザグにする理由は、地面の表面が均一ではないからです。土には小さな凹凸や土の塊がたくさんあり、光が当たる面と陰になる面が細かく入り組んで存在しています。直線的な影は人工物の影であり、自然物である土の影としては不自然に見えてしまいます。

また、奥に行くほどジグザグの面積を小さくしていきます。これは遠くにあるものほど、細かい凹凸を目が拾えなくなるためです。近くのものは一つひとつの塊がはっきり見えますが、遠くのものは全体がまとまって見えるため、影の形も小さく単純になっていきます。この違いを描き分けることで、奥行きが自然に生まれます。

土の明るい部分の塗り方

暗い部分を置いたら、境目をぼかしてなじませていきます。このとき、手前は暗いまま強めに残し、奥に行くほど明るくぼかしていくのがポイントです。

これは空気遠近法と呼ばれる考え方に基づいています。空気中にはわずかにちりや水分が漂っていて、遠くの景色を見るときはこの空気の層を通して見ることになります。距離が離れるほど光がこの層に散乱し、遠くのものほど白っぽく、コントラストの低い色に見えるのです。山が遠くに行くほど霞んで見えるのと同じ現象です。手前を暗く濃く、奥を明るく淡く塗ることで、この空気の層を再現し、奥行きを感じさせることができます。

土の細かい部分の描き方

大まかな明暗ができたら、地面の凸凹を描き込んでいきます。ここでも暗い部分の流れと同じくジグザグを意識しながら、ひし形を並べるようなイメージで暗い部分と明るい部分を描き足していきます。

ひし形にする理由は、土の小さな塊の形を簡略化して表しているためです。光が上から当たると考えると、塊の光が当たる側は明るく、影になる側は暗くなります。この明暗のペアを一つの塊として繰り返し置いていくことで、少ない手数で立体感のある凸凹を表現できます。ひし形の大きさは手前を大きく、奥を小さくしていきます。近くのものほど視界に大きく映り、遠くのものほど小さく圧縮されて見えるという、目の仕組みに沿った描き方です。

描き込んだ部分をなじませたら、テクスチャを重ねてさらに質感を足していきます。ざらついた質感のテクスチャを選ぶのは、土の表面には筆や絵の具だけでは再現しきれない細かい粒の情報があるからです。

今回は鉛筆のテクスチャをソフトライトという合成方法で不透明度55%ほど重ねています。ソフトライトは、下にある色の明暗を大きく崩さずに質感の情報だけを足せる合成方法なので、地面の立体感を保ったままリアルな質感を加えることができます。

小石を描き足すと、さらに地面らしさが増します。小石は手前を細かく、奥はざっくりとした形で描くようにしましょう。画面のすべてを同じ密度で描き込んでしまうと、目がどこを見ればいいか分からなくなり、かえって画面がうるさく感じられます。手前に情報量を集めることで視線の置き場所ができ、絵全体にメリハリが生まれます。

草の生えた地面を描く流れ

地面に草を足すと、より自然な公園らしい風景になります。

奥の植え込みの描き方

最初に、奥側に植え込みを描きます。

あえて奥に配置するのは、植え込みという塊のものを手前に置いてしまうと、一本一本の葉の形まで描き込む必要が出てきて、画面の情報量が多くなりすぎるためです。奥にあるものは細部が見えにくいという前提があるので、葉の集まりをひとつの塊として、ざっくりとした形とテクスチャだけで植え込みらしく見せることができます。

テクスチャがつけやすいブラシを使うと、この葉の集まり感を効率よく表現できます。

植え込みの影の塗り方

植え込みを描いたら、その下に影を塗ります。植え込みと地面が接する部分は光が届きにくく、他のどの部分よりも暗くなります。この接地面の影があることで、植え込みが地面の上に浮いているのではなく、しっかりと根を張って立っていることが伝わります。

細かい草の描き方

次に、細かい草を描いていきます。草は細めの筆やペンツールを使い、線を引くように一本ずつ描きます。

細かい草は、根本を太く、先端に向かって細くなるように描きます。草の茎が根本ほど太く、成長するにつれて先が細くなっていく構造を持っているためです。この太さの変化があるだけで、線がただの棒ではなく生きた植物らしく見えるようになります。

草を描くときは、画面全体のバランスを見ながら、描きすぎないようにします。同じ密度で草を敷き詰めてしまうと、それぞれの草の形が見分けにくくなり、地面全体がのっぺりとした印象になってしまいます。

草のハイライトの入れ方

最後に、描いた草の上から、ベースの色より明るい色で線を重ねます。

草の茎は完全に平らな面ではなく、わずかに丸みを帯びた面を持っています。光が当たる側は明るく、影になる側は暗いという明暗の差をつけることで、一本の細い線でも立体感のある草として見せることができます。

ベースの色で形を取り、その上に明るい色でハイライトを重ねるという順番を守ることで、どんな形の草でも簡単に立体感を出すことができます。

参考記事:初心者も簡単!ハイライトの描き方

砂場の地面を描く流れ

砂場を描くときは、砂場の枠という人工物、砂という自然物、そしてスコップやバケツなどの道具、という三つの要素の組み合わせで考えると整理しやすくなります。今回は四角い枠の中に砂の山を作り、そこにスコップを差した砂場を描いていきます。

砂場のアタリの取り方

砂場の枠やスコップのような人工物は、正確な形で描くようにします。人工物は工場で規格通りに作られたものなので、直線や角度が揃っているのが当たり前です。見る人の目は、こうした規則正しい形のわずかなゆがみにも敏感に反応するため、人工物の形が崩れていると違和感として伝わりやすくなります。

参考記事:【アイビスペイント】直線定規・ぼかしフィルターを使って雨の背景を描く方法

一方、砂そのものは自然物なので、ざっくりとした形の取り方で問題ありません。砂は粒同士がくっつく力が弱いため、山に積んでもきれいな三角錐にはならず、ある程度の傾きになると崩れて広がっていきます。この崩れずにとどまる限界の傾きを安息角と呼びますが、砂山の輪郭がゆるやかな曲線になるのは、この性質のためです。だからこそ、砂の輪郭は直線ではなく、緩やかで不揃いな線で取っていきます。

砂場の陰影のつけ方

形が取れたら、ざっくりと陰影をつけていきます。砂の山は半球に近い形をしているので、上側に光が当たり、下側が影になるという球体と同じ考え方で陰影をつけます。

穴を掘った部分は、周りの砂に囲まれて光が届きにくいため、はっきりと暗く塗りつぶします。砂場の地面は、山から外側に向かって波のような陰影をつけていきます。これは、山を作るときに周りの砂が押しのけられ、波紋のような跡が残ることを表しています。

参考記事:初心者も簡単!イラストの影の付け方

砂場の描き込みとメリハリのつけ方

大まかな陰影がついたら、さらに描き込んでメリハリを強めていきます。

砂場の枠の側面や、穴の奥のように光がほとんど届かない部分は、しっかりと暗くします。物と物が接する部分や、光が遮られる部分を意識的に暗くすることで、画面に立体感と重みが生まれます。この工程でも、ざらついた質感を出しやすいブラシを使うと、少ない手数で砂らしい表面を再現できます。

砂場の仕上げ方

最後に全体を整えます。ざらついたテクスチャや草を周囲に足すと、より説得力のある砂場になります。

今回は全体の陰影が強くなったぶん画面がやや重く見えたので、太陽の暖かい光をイメージし、オレンジ色をソフトライトで不透明度45%ほど全体にふんわりと重ねました。暖色を薄く重ねることで、光源の色を画面全体に行き渡らせ、ばらばらだった色をひとつにまとめる効果があります。

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